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ちょっぴりマニアック 製本好きさん いらっしゃい 「糸かがり綴じ」の話-第2回目-

みなさまこんにちは。
天地小口今村です!

 

 

今日は糸かがりについてお話ししたいと思います。
糸かがりについては2023年6月に一度お話したことがあります!

 

 

強度や開きが良いという機能面について触れましたね。
今回は色々な綴じ方と比較して、実際糸かがりっていいの?という部分に触れていきたいと思います。

 

新コーナースタート! 製本好きさん いらっしゃい① 「糸かがり綴じ」の話

 

さっそくですが皆さま、糸かがり綴じってメーカー側はよく言うけど、こんな疑問を抱いたことありませんか?

 

 

「糸かがりって実際何がいいの?」

 

「糸かがり綴じ以外って綴じ方あるの?」

 

「実際糸ってどんな風になってるの?」

 

「なんでboocoは見える場所で糸色が違うの?」

 

疑問に感じる人間

「糸かがり綴じ」って?

 

そういう声は直接聞いたことはないですが、ブログを書こうと思ったらみなさんがそんなこと言っているんじゃないかと天の声が聞こえてきました。

 

 

製本会社として専門分野ですし、その道のプロと胸張って言える部分でございます。

ぜひ皆さまこちらの記事を見て、製本についての知見を増やしていただければと思います!

 

ちなみに余談ですが皆さまは書店で本を手に取ったら何をされますか?

 

 

多分ですが帯の文章読んだり、中身が読める状態であれば本のあらすじを見たり、目次を見たり、もしくは本の内容をさらっと読んでみたりされますよね。

 

 

私たち製本会社に勤める人は、本を開く前に天地小口をぐるっと見ます。

 

 

糊がちゃんと入っているかだとか、どんな製本方法なのかとか、何ページ折なんだろうかとか、特殊な製本や加工だったらどうやって作ってるんだろう?とか色々見てから本の中身に入ります。

業界あるあるというか、製本会社あるあるです。(笑)

 

 

私は月に2回以上は書店に行くのですが、こんなルーティーンで本を見ます。

 

 

【タイトル→表紙の加工→製本の加工→奥付→本の目次→さらっと本文→購入】

 

 

製本の加工が特殊すぎるものを見つけると本を開かず、何度も本を上から下から何度も見ている人です。そしてパラパラっと開いて天側から見たり、地側から見たり…

 

 

はたから見たらちょっとやばい人です。

私の頭の中は「あっ!これ天アンカットのアジロ綴じ仮フランス装やん!」って思っています。(大型書店で探せば数冊出てくるちょっとだけ珍しい仕様です。)

 

 

書店でそういう人を見かけたら、きっと本を装丁から楽しむタイプの人なんだろうなってそっとしておいてあげてください。

たぶん製本に詳しい業界の方です。

 

 

ということで、本題に戻りますが糸かがりって何なの?ってところを順を追ってご説明しますね。

 

 

まずは

<製本の綴じ方比較について>

製本の綴じ方は言ってしまえばたっくさんあります。

 

 

今村が知らない綴じ方もたくさんあります。

まずは糸かがりの仕組みを知る前に、糸かがりが良いのか悪いのかわかるように一般的に書店で流通されているオーソドックスな綴じ方と比較しながらお伝えしますね。

 

 

 

  • アジロ綴じ・無線綴じ

 

 

 

 

厳密に言うとアジロ綴じと無線綴じは異なる綴じ方ですが、今回は書店の流通ベースでお伝えするので一括りにさせていただきます。

糊で背を固めて折丁を繋げて製本する方法で、どちらも並製本という製本ジャンルに振り分けられていて、本といえば思いつく最も一般的な製本方法。

 

 

ホットメルトという糊は実は高温と低温に弱く、本がばらけてしまうことがある。

*今はPURという糊が出てきて、ある程度改善されて一時期手帳にも使用しているメーカーさんもありました。

 

例)雑誌、文庫本、少年ジャンプ 等

 

束見本(製本前に作る無地のサンプル)

束見本(製本前に作る無地のサンプル)

 

 

 

  • 中綴じ

 

 

 

 

ページ数が少ないものに多い仕様。フリーペーパーや週刊誌等、大量印刷・大量生産向け。

 

 

印刷物を見開きで重ねた状態で、真ん中に針金を打ち込み二つ折りにする製本方法。

ページ数が多いと製本が出来ないが、安価で短納期で製本までできる。

 

 

例)雑誌(薄物)、週刊誌、ヤングジャンプ等

中綴じ冊子

写真:ホクレンさんの北海道の食をテーマにした冊子「GREEN」

中綴じ冊子

(実はboocoについて取り上げていただきました!)

 

 

 

  • 糸ミシン綴じ

 

 

 

 

上記の中綴じと同じ要領で、針金ではなく糸にした仕様。糸のため安全性があり、子供が使用するノートや絵本等の製本に採用されることが多い。

中綴じ同様、ページ数は少ないものに限るが中綴じよりは使用する上での安全面は高い製本仕様。

 

 

例)絵本、ノート(薄物)、CRAFT ZINE

中ミシン綴じ

写真:CRAFT ZINE サンプル

 

 

 

  • リング製本

 

 

 

 

ノートやスケッチブックに使われる仕様。360度くるっとページをめくるため、開いた状態を維持しやすく、絵を書いたりする用途に最適な製本方法。

ページ数が多くなるとリングが大きくなってしまい、持ち運びのときにカバンの中でかさばりやすい。

 

 

例)スケッチブック、カレンダー、ノート等

リング製本

写真:masao takahata 2025 CALENDAR

 

 

 

  • 糸かがり綴じ

 

 

 

 

記念誌や絵本、ハードカバー製本の綴じ方として採用されることが多い。糸でかがるため経年劣化で糊がダメになっても糸でつながっているため補修ができる。

糸がある分、糊が薄く開きがとてもいい上、強度もあり長期保管の本向けの製本方法。

ただ通常の製本よりも工程が増えるため、コストが高い。

 

 

例)記念誌、ハードカバーの文庫本、画集や作品集、booco

糸かがり綴じ

写真:booco DERICIOUS COLOR 本文のみ

 

 

以上が大体書店さんに置いてある仕様でしょうか!

 

 

ご覧の通り用途によって綴じ方はマチマチですし、それぞれの製本も善し悪しあります。

 

 

例えば、「絵本を作りたい!」となると

製本仕様は糸ミシン綴じか糸かがり綴じですね。

 

 

どっちが良いかはページ数であったり、紙質であったり、作家さんがどういうものにするかに合わせて私たちも提案していきます。

 

 

他にも「雑誌みたいな定期刊行本を毎月たくさん作って書店流通させたい!」

このパターンは出版社さんが入る場合が多いですが、凝った製本仕様で目を引きたいというよりは、本の中身の情報をたくさんの方に届けたいのが用途ですよね。

そうなると生産性に時間がかかる糸かがりではなく、アジロ綴じや中綴じがおすすめです。

 

 

なのでまとめると、、、

 

 

「本の用途で製本仕様も変わる」

その中でも「糸かがり綴じ」は製本に時間がかかるというデメリットはあるが、強固で開きやすいのがメリット。

なので糸かがり綴じは「長期保存向けで、しかも読む本ではなく使う本にも適した仕様のため手帳には最適な製本!」というのが本日のお話の終着点となります。

 

 

改めて私たちboocoが糸かがりこだわるのは、「本として長く残るから」です。

もちろん、開きが良いとか糸がかわいいとか他にも色々ありますが、一番はコレ「本として長く残るから」

 

 

皆さまが購入したboocoはクタクタになるまで使っていただける方もいらっしゃるだろうし、なんかもったいなくて飾っています!って方もいつかそこの棚から降ろして使う時がくるかもしれない。

そういった時も新品と同じように使えるようにしたいし、使用した後も見返せる本であってほしい。

 

 

そんな皆さまのモノがたりを綴じるノートであり続けるために、私たちはこれからも製本にこだわり続けたいと思います。

 

 

糸かがり編まだまだ続きます!

次回:糸かがり綴じの話 第3弾「糸かがりって実際どんな仕組みになっているの?」

 

 

したっけ~

 


 

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